今回はサッカーをやっている子どもがいる親の必読書「サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法」を紹介します。子どもを成長させるためには、まず大人である指導者、親が変わらなければいけない理由をお伝えいたします。
著者の池上正さんの紹介させていただきます。
大阪体育大学卒業(中・高体育教員免許取得)サッカー部 インカレ出場
IKOアカデミー
卒業後、大阪YMCA入職 23年間在籍 幼児教育(3歳児教室)サッカー教室
野外活動クラブ キャンプ指導 成人スポーツ レクリエーションゲーム指導
特別養護老人ホームでのレクリエーションゲーム指導など多岐にわたり指導をしてきた。
在職中にサッカーにおいて、大阪代表として国体に2度出場
45歳で、2002年4月、Jリーグのジェフユナイテッド市原(当時)の育成普及部コーチとして加入初年度担当、小学生(U-12)チームと中学1年生を指導。その後、当時のGM祖母井氏が地域貢献のために「サッカーお届け隊」を始めたいという話があり、隊長になる。当初はサッカーチームの指導を考えていたのだが、私のたちの考え方が受け入れられなくて、小学校に出向いたところ、先生や子どもたちに好評だったので、学校を回ることにシフトチェンジした。2003年から2009年までの7年間で約40万人の小学生、先生、保護者、の指導をしてきました。2010年4月より千葉大学非常勤講師(サッカー実技)東邦大学非常勤講師(サッカー・テニス・クライミング)東京YMCA体育・保育専門学校非常勤講師(サッカー実技・指導法座学)順天堂大学ゲストティーチャー(コーチング論大学院生対象)テーマ(スポーツ選手を指導しなければ選手はどう育つか)2012年2月より京都サンガF.C.コーチ契約「サンガつながり隊」発足京都府下の小学校を巡回指導開始、5年間で約5万人の指導をしました。2016年より現在のNPO法人I.K.O市原アカデミー理事長として活動、現在に至る。
このように少年サッカー指導の先駆者として長きにわたりサッカーを通じて子どもを育成してきています。その池上さんが日本とスペインの子どものサッカーに向き合う姿勢の違いから感じた日本がすべき育成方法をこの本で語ってます。
私も子どもが幼少期からサッカーをやっていて、この本に出会ったのが子どもが高校に進学した時だと記憶しております。もっと早く出会いたかったと強く思いました。それからは子どもに対する接し方が180度変わりましたし、変われて良かったと今でも思っています。サッカーをやっている子どもがいる親御さんには是非読んで欲しい一冊です。
魔法①楽しませるー「サッカーを最優先しろ!」と子どもに押しつけていませんか?
例えば、家族旅行の計画をたてるときにサッカーの試合と重なっていたらどうしますか?日本の親御さんはサッカーの試合を優先させることが多いようです。何故なら、試合に参加しないと子どもがスタメンから外されてしまうと思ってしまうからです。試合だけでなく練習ですら休むと子どもが試合に出られなくなるのでは?心配するするからです。指導者も「チームが勝つために試合を優先しろ」と言ってませんか?もしくは、言わないまでも「次からはスタメンから外す」というような雰囲気を出していませんか。大人に余裕がないのです。それが子どもに伝わり子どもにも余裕がなくなります。
人間には余裕が必要です。練習や試合をやればやるほどうまくなるならたくさんやればいいと思っていませんか。「練習は裏切らない」なんて大人はよく言います。もちろん適度な練習は必要ですが、スポーツは絶対にそうではありません。やりすぎて燃え尽きてしまう子、サッカーが嫌になってしまう子をたくさん見聞きしてきました。「サッカーを最優先にしろ」という大人が潰してしまっている子どもたちです。少年サッカーは「サッカーが楽しい」、練習が終わった後に「また来たい」と心から思えるように指導することが一番大切なのです。
魔法②気づかせるー「ちゃんと話を聞きなさい!」といつも世話を焼いてませんか?
例えば、サッカーの試合に出かける前に親が「ソックス持った?」「何時に出発するの?」「お弁当は要らないの?」と、親が先回りして子どもが失敗しないようにお膳立てしてませんか。指導者は練習前ミーティングで何度も何度も同じ内容を話していませんか。聞いてない子どもがいたら注意していませんか。練習をスムーズに進めるためには必要なことですが、強い言い方をさせてもらうとスムーズに練習を進めたい指導者が「自分の為」に注意しているようなものです。
常に周りに自分がやりやすいようにお膳立てして貰ったり、指示されてから動くのではなく、自分で気づいて考えて行動を起こせるようになって欲しい。子どもが話を聞けないのは「話を聞かなくても済む状況を大人が作り出してしまっているから」です。話を聞かなかったために「損をする」体験をさせるのです。子どもは損をしたり、失敗したりすると同じことを繰り返さない様に気をつけます。子どもには気づく力、考える力、人に伝える力が備わっています。その力を大人が引き出して欲しいです。目先のことばかりに気をとられないで、「何年後にこうなってくれたら良い」くらいの気持ちの余裕が必要です。
魔法③考えさせるー「右へパス!」「そこでシュートだ!」と試合の間中、子どもを煽っていませんか?
例えば、幼稚園で2列に並んでいた子どもたちに先生が「はい4列!」と指示するとさっと4列になります。しかし、突然に「はい3列!」と指示すると全員凍り付いて先生の顔を見ました。子どもにものの成り立ちを考えさせるのではなくて、訓練でしかないのです。特にスポーツは練習したような場面がいつも実践で出てくるわけではない。その都度、その都度、本当に微妙なのですが違う状況がいっぱい出てきます。サッカーの試合中、子どもがしょっちゅうベンチを見ているチームが目につきます。試合が始まったら自分たちで考えてプレーする必要があります。型どおりのことをやることしか教えられていない選手は実践では通用しません。
試合でも練習でも、子どもが自分で考えるという場面を常に引き出すよう心がけて貰いたいです。練習でもいつも子どもを煽っているだけで、子どもに考えさせる機会や時間を与えていないコーチが多いです。子どもが選択したプレーをまずは褒めてあげてください。自分で選択したプレーが褒められることで自分で考えてプレーし始めます。大人がアドバイスするのはその後からで良いです。オシムが残念がった日本人の従順さの一例です。「日本人は右へ行けと言われたら、みんな右へ行くね」。海外の選手はコーチが右だと言ったら、知らん顔して左へ行くらしいです。
私たち大人がもっと余裕をもって子どもの将来を見据えて接して欲しいと思います。目先の勝ち負けではなく、もっと先にある子どもの未来を考えて欲しいです。大人の都合(こうして欲しい、勝ちたい)ではなくてです。それと、幼少期だからこそ年齢の高い指導者をお勧めします。幼少期に必要なのはサッカーの技術や戦術を教えることではなく、子どもの育成や成長プロセスの理解が必要であるとともに、保護者を受け止めていかなくてはいけません。人生経験も指導経験も浅い若い指導者では非常に難しいと思います。私自身は今回紹介させて頂いたこの3つの魔法が最も考えさせられた魔法です。残りの8つの魔法もすばらしい内容ですので是非読んで頂きたいと思います。
コメント